今日は、月末におすすめのコソ練第二弾をご提案します。
テーマは、
何を覚えておきたいですか?
このメニューは、音声でもお聞きいただけます。
音声を聞きながら、この記事を読むのもおすすめです。
練習メニューのルーツ。
このメニューの肝は、思い出を選ぶこと、です。
思い出を選ぶというテーマについては、私の体験をお話するほうがわかりやすいと思いますので、ちょっとシェアしてみます。
2020年初夏くらいから…ですかねえ。
今の仕事場の近所にあるお気に入りのお店が、何軒も閉店してしまったことがありました。
地元で仕事をするのが長年の夢だったんで、今の事務所を構えてからは本当に楽しくて、近所のいろいろなお店のお世話になりました。
昼休みのランチだったり、お客さまをお迎えする日のお菓子やお茶だったり…ときには、わがままを聞いてもらったり、相談に乗ってもらったりもしました。
首都圏に最初の緊急事態宣言が出た頃は、私もできる限り自宅で仕事をするようにしていて、必要最小限しか仕事場に出勤していませんでした。
出勤するとしても、早朝…
街が目覚める前にサクっと車で行って、用事を済ませたらさっと帰る。
そんな感じだったんです。
宣言が解除されてから、久しぶりに近所の商店街に買い物に行ったら、しょっちゅうランチに出かけていたお気に入りのお店のシャッターが閉まってて、閉店のお知らせが貼ってあってありました。
張り紙を見たら、なんか頭が真っ白になって。
しばらくの間、動けなくなってしまって。
そんなことが何回も続きました。
基本的に私は、いうほど繊細じゃないんで、閉店したお店のシャッターの前で、毎回動けなくなることに、自分で驚いていました。
なんで毎回こうなっちゃうのかなって。
何軒目のときだったでしょうか…お気に入りのお店がまた閉店している、とわかったときに、ふと思いました。
私は、今のこの悲しさじゃなくて、このお店で過ごした楽しい時間とか、スタッフのみなさんによくしてもらったこととか…そういう幸せな思い出だけをとっておこう。
これから、このお店の前を通るたび、寂しくなったり、切なくなったりするかもしれないけど、そういうときは、このお店での幸せな時間だけを思い出すことにしよう。
つまり、何を覚えておくか、今後、何を思い出すことにするか、ちゃんと選ぶことにしたんです。それが、思い出を選ぶ、という練習メニューのルーツです。
そのあともお気に入りのお店が閉店してしまったのを何度も目にしました。
そのたびに、幸せな時間だけを覚えておこうって思い直しました。
閉まってるシャッターの前で切なくなることも何度がありました。
その都度、気持ちを入れ換えて、そこでの楽しかった時間だけを思い出すようにしたんです。
ふだんの毎日でも、思い出を選ぶ。
こんなふうにして、思い出を選ぶ、という練習を何度もやってみたら、相当いい感じになってきたんで、日常のいろんな瞬間でもやってみました。
たとえば、運転中に、わき道から突然自転車が飛び出してきて、すごく怖い思いをしたとき。
以前の私なら、
「なんだよ、あの自転車危ないなあ…あーーー怖かったー」
という感じで、何分間か引きずっていたと思うんです。
怖いのは確かだし、ときには腹が立つこともあるから、それはその場で、存分に表現するとして。
ひと通り表現して満足したら、「あ、お互い無事でよかった。これだけを覚えておこう」って思い直すんです。
そうするとね、かなりの確立で、思い出しムカつきとか、思い出し怖がりがなくなります。
運転中のネタは相当楽勝なんで、意識的に練習しなくても、すぐ忘れることができます。
一方で、仕事や人間関係のやりとりで、ちょっと面倒なことになったとき、そういうときは、意識的に思い出を選んでおくと、効果をハッキリと実感できます。
インパクトのある出来事だと、何度も思い出して、いろんな感情になったりしますよね。
そういうときに、「自分はまたこれを思い出したいだろうか?」と問いかけることはできます。
あ、もうこれは思い出したくないな、と思ったら、何を思い出したいのか選べばいい。
そのことはもう思い出さないことにする、と決めることもできます。
逆に、いや、何度も思い出したいのだ、と思ったら、それはそれでオッケーですよね。自ら望んで思い出してるわけですから。
記憶のふるい分けをする。
私たちが、過ぎたことを何度も何度も繰り返し思い出すのは、そのときに見えていないものがあるから…ではあります。心の仕組みとしては、そうです。
なので、まだ気づいていない大切なものがそこにある…と感じるときは、心の奥を見つめるワークをするのもいいと思います。
一方で、私たちの心には、さしたる根拠もなく、自動的に起動する思考や感情があります。
集合的な思考や感情、家族や職場で長年共有してきた感覚や価値観も、その一種です。
そうした思考や感情は、自分の本当の気持ちとはまったく関係ないところで、自動的に出てきます。
個人的な体験を掘り下げたところで、原因が見つからない。
まずは、今回ご提案したように、思い出を選ぶ、という練習をしてみると、ふるい分けができます。
自動的に出てきてしまう思考や感情は、かなりの確率で片づけることができます。
意識的に選ぶ、という作業を続けると、今この瞬間の体験に、今の気持ちがちゃんと紐づいていきます。
やがて、自動的に再生される過去の思考や感情に引きずられることがなくなります。
結果として、毎日の幸福度が自然に上がっていきます。
少々長くなりましたが、思い出を選ぶ…とは、こういう練習です。
さっそくやってみましょう。
では、この一か月のことをさーーーっとふり返ってみて、何を覚えておくか、意識的に選んでおきましょう。
今お時間がある人は、数分間ワークしてみてください。
すきま時間にこの記事を読んでいる人は、このまま読み進めるだけでオッケーです。
この記事を読み続けることで、思い出を選ぶという感覚が少しずつ身についていきますので、必要なときに思い出すことができます。
このあとワークする方のために、手順をご提案しておきますね。
しばらくの間、ボーーーっと過ごしてみて、心の中に、いろいろなことを浮かび上がらせてみましょう。
頑張って思い出す必要はないので、浮かんでくるがままに任せてみるといいです。
しばらく待ってみて、何も浮かんでこなければ、今回のワークはおしまいにしましょう。
頭のなかや心のなかに何かが浮かんできたとしても、自然にす――っと消えていくようなら、そのまま放っておいてオッケーです。
一方で、グルグルと思いが巡ったり、延々と考え続けていることに気づいたら、意識的に思い出を選んでおきましょう。
このことを覚えておきたいだろうか?
これからも、このことを思い出したいだろうか?
そんなふうに問いかけると、選び直しのきっかけがつかめます。
何を覚えておきたいだろうか?
このことについて、何を思い出したいだろうか?
そうやって問いかけると、あなたが本当に大切にしたいものに目を向けることができます。
やってみて、心がスッキリしたら、このワークは終了です。
途中で時間切れになったとしても大丈夫。
意識的に思い出を選ぼうとしただけで、あなたの心は喜びます。
最後までちゃんとワークをすることより、ほんのちょっとでも、自分の心に目を向けることが大切です。
この練習メニューは、月末の2日前にご提案していきます。
毎月こうやって思い出を選び直していけば、過去のトラウマとか囚われから、どんどん自由になっていけると思いませんか?
今月の心残りは、今月のうちに…というわけです。
何度か聞いているうちに、日常の中で自然に思い出を選べるようになっていきますから、心がますます軽くなっていくと思います。
今日の練習メニュー
何を覚えておきたいですか?
練習のポイント。
- 練習の肝は、思い出を選ぶこと。
- 「このことを覚えておきたいだろうか?」
- 「このことをまた思い出したいだろうか?」
- 「このことについて、何を思い出したいだろうか?」
- さしたる根拠もなく自動再生されるものは、この練習でほとんど片付いていく。
明日は、月末におすすめのコソ練第三弾をご提案します。
ここまでのおつきあい、ありがとうございました。